市原で電動車「グリスロ」若宮団地で試験運行開始、地域住民の交流の場にも

グリスロ利用者と地域住民の交流の様子(提供=市原市役所)

 電気自動車「グリーンスローモビリティ(以下、グリスロ)」が2025年10月29日まで、市原市の若宮団地内を試験運行する。主催は市原市役所、運営は若宮団地連合自治会が行う。

 グリスロは20km未満で公道を走行する電気自動車。自宅からバス停など、利用者の短距離移動を支援する。低速で走行するためシートベルトやチャイルドシートは不要で、窓ガラスがないのも特徴だ。市原市では、普通免許で運転できる車体で最も大きい10人乗り(運転手含む)を採用している。座席は対面式のベンチシートで、利用者同士のコミュニケーションが生まれやすい形になっているという。

 試験運行をしている若宮団地は近年、空き家の増加や人口減少が問題となっている。そこで、若宮団地連合自治会は令和元年に「まちづくり協議会」を設置。地域の新たな移動手段としてグリスロ導入を検討していった。

 グリスロの試験運行に至った経緯について市原市企画部交通政策課 係長の高田さんは『令和5年3月に協議会でまちづくり構想を策定し、令和6年に協議会と市が共同で先進市の取り組みを視察した。その後、市内でグリスロの乗車体験会を行い、外出するきっかけや複数人で会話する場になるなどの意見をもらった。若宮団地と協議し、協力体制が整ったため試験運行を開始できた』と話す。

 運行ルートは若宮1丁目町会から若宮7丁目町会を結ぶ全長約5.2km。自治会館やコンビニ、公園、友人の自宅などへの移動に活用できる。

 企画部交通政策課などが警察との協議や運行ルートの素案作成を行い、自治会で実際のルートを検討した。そのほか、ドライバーの確保やシフト調整などの運営全般は自治会が担う。都市計画課 主事の白河さんは『利用者からは「窓がなくて開放感がある」や「足が不自由になった時に必要だ」などの意見が聞かれた』と話す。

 ただ、試験運行を始めて見えてきた課題もある。運用しているグリスロの車種はフル充電で約60kmの走行が可能とされているが、道路状況や運行速度によって想定よりも早く充電がなくなってしまうという。そのほか、継続的な運用のためには住宅街の渋滞や猛暑・寒冷対策などを検討しなければならない。

 今後の展望について高田さんは『試験運行でさまざまな課題が見えてきた。利用者数やアンケート結果も参考にし、事業を継続していけるか検討していきたい』と話す。白河さんは『地域住民が主体となって運営する事業のため、若宮団地の取り組みが住み続けられる街のモデルケースになれば』と意気込む。

 試験運行期間は10月3日〜10月29日まで。水曜・金曜・日曜に運行し、時間は9時・10時半・12時・13時半・15時・16時半の1日6回。事前予約は不要。

グリーンスローモビリティ(市原市)

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